最尤推定の良問 ~ 鯉問題 ~

最尤推定の良さげな問題を見つけた.

出典はこちらの本↓

www.kosho.or.jp

最近だとソフトカバーになっているらしい.

www.amazon.co.jp

 


 

[46]ある池に棲息する魚の数  N を推定するために  r 匹の魚を捕獲して, これに目印をつけて再び池に放し, しばらくしてから,  n 匹の魚を捕獲した. この  n 匹の中に, 目印をつけたものが  k 匹いたとすれば,  N最尤推定値はいくらであるか。

まず, それぞれの場合の数を求めると,

  •  N 匹の魚から  n 匹の魚を捕獲する仕方は  {}_NC_n 通り

  • 目印の付いた k 匹の魚と, ついていない  n-k 匹の魚を捕獲することで,  n 匹の魚を捕獲するという仕方は  {}_{N-r}C_{n-k}\cdot {}_rC_k 通り(目印の付いた  r 匹の魚から  k 匹捕獲し, 目印のない  N-r 匹の魚から  n-k 匹捕獲する)

であるから, 問題にあるように魚を捕獲してくる確率は,

 \displaystyle \frac{{}_{N-r}C_{n-k}\cdot {}_rC_k}{{}_NC_n}

になる.

この確率を  N に関して最大化すれば,  N最尤推定値を与えたことになる.

尤度関数としてこの確率を

 \displaystyle L(N) := \frac{{}_{N-r}C_{n-k}\cdot {}_rC_k}{{}_NC_n}

とおくと,

 \displaystyle \frac{L(N+1)}{L(N)} = \frac{{}_{N+1-r}C_{n-k}\cdot {}_rC_k}{{}_{N+1}C_n}\cdot\frac{{}_NC_n}{{}_{N-r}C_{n-k}\cdot {}_rC_k}

 \displaystyle \phantom{\frac{L(N+1)}{L(N)}} = \frac{(N+1-r)(N+1-n)}{(N+1-r-n+k)(N+1)}

 \displaystyle \phantom{\frac{L(N+1)}{L(N)}} = \left(1 - \frac{n}{N+1}\right)\biggl/\left(1 - \frac{n-k}{N+1-r}\right)

となる.

  •  \displaystyle \frac{L(N+1)}{L(N)} \gt 1  \iff \frac{nr}{k} \gt N+1
  •  \displaystyle \frac{L(N+1)}{L(N)} \lt 1  \iff \frac{nr}{k} \lt N+1

であるから, ガウス記号を用いると,

  •  \displaystyle N = 1, 2, ..., \left[ \frac{nr}{k} \right]-1 \implies L(N) \lt L(N+1),
  •  \displaystyle N = \left[ \frac{nr}{k} \right], ... \implies L(N) \gt L(N+1)

つまり,

 \displaystyle L(1) \lt L(2) \lt \dots \lt L\left( \left[ \frac{nr}{k}\right] - 1\right) \lt L\left( \left[ \frac{nr}{k}\right]\right) \gt L\left( \left[ \frac{nr}{k}\right] + 1\right) \gt \dots

となり,  N最尤推定値は  \displaystyle N = \left[ \frac{nr}{k}\right] となる.

 


 

確率の最大化と考えると, 大学入試でもなくはない問題だと思った.